ねずみが媒介する病気
14世紀のヨーロッパで大流行し、人口を激減させたペストの元凶はねずみにあった…というのは有名な話です。このようにねずみは人体に悪影響を及ぼす菌を保有するだけでなく、ねずみに寄生しているダニを媒介して、サルモネラ菌やハンタウイルス、ペストなどの恐ろしい病気が運ばれる、というように感染源にもなり得ます。
病気事例
ねずみによって引き起こされる被害の中でも最も恐ろしいのが、病原菌を媒介するということです。
不衛生な場所を好んで移動するねずみは、全身に病原菌をまといながら動き回ります。また、菌やウイルスはねずみの身体の表面だけでなく、糞や尿にも含まれています。
さらに、飢えたねずみは人間の皮膚をかじる場合もあります。特に狙われやすいのが乳幼児で、赤ん坊が身体中をかじられ死に至ったという痛ましい事故も起きています。
赤ん坊だけでなく、大人もかじられることでアナフィラキシーショックが生じ死んでしまう可能性もあります。サルモネラ症(食中毒)、パラチフス、腸チフス、E型肝炎、ツツガムシ病、鼠咬症、腎症候性出血熱、ペスト、レプトスピラ症(ワイル病)、ハンタウイルス肺症候群…。これらはいずれもねずみを媒介して発症する可能性のある病例です。
保有する菌、ダニによる悪影響
ねずみに寄生しているダニなどを媒介して、菌やウイルスが人間に感染するというケースもあります。
ねずみは天井裏やゴミ捨て場、湿気の多い沼地といった不衛生な環境を好みます。このため、人体に悪影響を及ぼす菌を保有しています。
上記したように、サルモネラ菌、ハンタウイルス、ペストといった恐ろしい病気の危険の感染源となりながら移動しているのが、ねずみという生き物です。
なお、ねずみに寄生しているダニも大変危険な存在です。リケッチアという微生物に感染しているダニが存在します。これに感染したダニの一種、ツツガムシに刺されることで人間が感染するのがツツガムシ病という病気です。噛まれることでも、アナフィラキシーショック、鼠咬症スピロヘータ感染症、モニリホルム連鎖桿菌感染症などを発症する可能性もあります。