豆知識
家にネズミが発生することで人体に及ぼす被害とは?
2017.09.14
3.病原菌を持ったネズミの侵入

ネズミは多くの病原菌を持っており、家にネズミがいるということは、感染のリスクが高くなるということに他なりません。ネズミの持っている病原菌には、命に関わる症状を引き起こすこともありますし、病原菌にかからなくてもネズミに関わることでダニをもらったり、かまれて深刻なほどの傷跡を残すこともあります。
ネズミは特に海外で、その病原菌の保有によって忌み嫌われる存在であり、有名なものにはペストがあります。日本では既に感染者がいなくなったといわれていますが、海外ではまだ感染例があるようです。また、ネズミに噛まれることでかかる病気には鼠咬症もあります。ただし、これはネズミ以外のげっ歯類やペットとして飼っていた動物から感染する可能性も考えられます。
日本はこうしたネズミの病原菌の怖さをあまり知らない人が多い国かも知れません。しかし、都市部などでもネズミの害が増えてきており、ネズミのリスクに対して慎重に考える必要性は高まっています。ネズミの持つ病原菌と感染の仕方を理解して、不用意にネズミに近づいたり、触ったりしないように注意が必要です。
家の中にネズミが発生しても、実際にはなかなか気づかないことも多く、ネズミの繁殖や行動によって密かに病原菌が広がっていたり、間接的にネズミの病原菌に触れて感染してしまうこともあります。ネズミの病原菌は直接ネズミに触れなくても、人に感染する恐れがあり、大変危険なものなのです。
ネズミに触れなくても移ってしまう病気

ネズミに触れなくても移ってしまう病気としては、レプトスピラ症(ワイル病、秋疫)、ハンタウイルス感染症、ツツガムシ病、食中毒、E型肝炎などがあります。ペストもネズミに寄生するノミが感染源となり、直接触らなくても感染する病気です。こうした病気の中には日本ではほとんど見られないものもありますが、新しい病気で今後感染が広がるリスクが考えられたり、治療法が確立されておらず治療が難しいものもあって、非常に危険です。
現状としては、ペストをはじめ、レプトスピラ症、ハンタウイルス感染症などあまり見ることはありません。ただし、国外や一部のエリア(レプトスピラ症は沖縄)では注意が必要です。
ツツガムシ病は、ネズミに寄生したダニの1種であるツツガムシによる病気で、高熱と頭痛、腰痛、赤い発疹などの特徴を持っています。治療が遅れると意識不明に、さらに死亡することもあります。ネズミ以外にも山林などで人に付着することもあるダニです。
食中毒の原因となるのは、ネズミやゴキブリなどが媒介となるサルモネラ菌です。ネズミが触れた食物によって発症することがあり、チフスを発症することもあります。発熱や嘔吐、下痢などの症状があり、重症の場合には死にいたることもある怖い病気です。
レプトスピラ症は国外では熱帯や亜熱帯に多く見られるもので、日本では沖縄で発症例があります。人獣共通の細菌によって感染するもので、ネズミではドブネズミによって運ばれて、尿中に排出されます。人にはドブネズミの尿の付着した食物や水などで感染すると言われています。症状は風邪のようなものだけで済む軽症型もあるようですが、黄疸や出血、腎障害を伴う重症の症状が出る可能性もあります。潜伏期間は5日~2週間程度で、発熱、悪寒、頭痛や腹痛、結膜充血などの症状が特徴です。
E型肝炎はウイルスによって発症し、腹痛や食欲不振などが起こる病気で妊婦さんが重症化しやすい傾向を持っています。ネズミの尿から知らないうちに感染しているケースが多くなります。
ネズミだけでなく巣や糞も除去する必要がある

ネズミの被害は、ネズミ自体に噛まれたり触れたりすることで発症する病気だけでなく、ネズミが家の中にいるだけで間接的に感染する病気やネズミが死んだ後にまで影響を与えるものもあります。ネズミによる健康への被害を無くすためには、ネズミを駆除するだけでなく、その巣や糞も一緒に取り除くことが大切です。
ネズミの駆除にはネズミを殺す方法もありますが、その場合には死がいの処理も適切に行う必要があります。死がいに直接手を触れたり、死がいを長く放置することで死がいが腐敗したり、感染源のダニや病原菌を移されてしまうこともあるためです。死んだネズミについていたダニは、その家に住んでいる人間に付くことがあります。
また、ネズミを取り除いた後や駆除をしている最中には、糞や尿も適切に除去をすることが必要となります。特に調理台や食器類、調理器具などが触れていた場合には、食品がそこに触れて間接的に汚染されるリスクがあるため、十分な洗浄と消毒が必要です。実際に食品が触れていた場合には、その食品は廃棄して食べないようにします。
生きたネズミと対峙した場合には、決して直接手を触れないようにして、処理をしましょう。追い詰められたネズミは飛び上がることもあるため、布を被せたり粘着シートを使うなどしてネズミを動けなくすることが必要となります。自分で処理をするのが危険だと感じたら、焦らずにプロの駆除業者に依頼することも大切です。
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